先日、長崎ブロガーのNMさんからメールをいただいた。
「思案橋の松亭(料亭)は、きれいさっぱりなくなり、あとはマンションが建つらしいです。」と。
先日、博多で二人して飲んだときに、話題が出たのですぐ調べてくれたのです。
メールを受取った私は、飲み会の席での戯言を覚えてていただいた嬉しさと
長崎の老舗が、またひとつなくなったさびしさに包まれました。

調べてみると、閉店したのは今年の2月だったんですね。
何代も続いた老舗の割りには、最後は銀行の融資がつかず、寂しい幕切れだったようです。
「松亭」といえば、
私が、生まれて初めて、長崎形式の結婚披露宴に招かれた場所として、とても思い出深い料亭なのです。
高校の友人の披露宴でした。
宴席に、長崎検番のきれいどころが多数よばれていて、
当時30才前でしたか、
食事は当然、「卓袱料理」、
芸者さんのお酌で酒をいただくだけでも嬉しいのに、
踊り(奴さん、だったかな?)やお話を堪能したのが昨日のことのように思い出されます。
長時間の宴席でした。
確か、4時間は経っていたと思います。
もう、食べれない。 もう、飲めない。 たっぷり、満足!
という時に、やっと(失礼)エンディングとなりました。
その時です。
階下から 賑やかな三味線の音が鳴り響いてきました。
「長崎ぶらぶら節」を歌って、お開きとなり、
玄関に下りていくと、
なんとそこには、一斗樽(もちろん日本酒)がデンと据えてあり、
最後に角打ちで、客にお酒をふるまっているのです。
横には、検番の芸者さんが賑やかに三味線を演奏しながら・・・。
これは「おくり三味線」といって、宴席の出席者を送るときの慣わしだそうです。
そして、最後のふるまい酒は
「飲み足らなかった」とは、死んでも言わせないぞ、という長崎っ子の心意気でした。
このとき、長崎に生まれて良かったあ、と心底思ったのを、今でも覚えています。
こんな、素晴らしい伝統を教えてくれた「松亭」

昔は、こんなに立派な建物でした。

純和風の庭も、もうありません。
観光立県として、生きていかざるを得ない長崎が
貴重な、思案橋の名所を救うことができなかったのか、
建物だけでも、残せなかったのか。
悔やまれてなりません。
観光とは、施設をみるだけじゃない。
街そのものを見ていただく、という意識が、まだまだ欠けているのでしょう。
また、ひとつ、昔ながらの「長崎」が消えてしまいました。
長崎情報 -地域生活ブログ村 <=ポチッとして頂ければこのうえない喜びでございます
.
この記事へのコメントはありません。